内藤工務店
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プロジェクトストーリー 複合商業施設『MEINOHAMA STEPS』

EPISODE 2. デザインの魅力を実現させるために

EPISODE 2. デザインの魅力を実現させるために

デザインのこだわりに施工という技術で応えていく

松山代表:
一般的な建物は柱と梁で構成されていますが、この建物は通常の概念とは異なる構造体で造られています。プレストレスト鉄筋コンクリート造という最先端の工法になりますが、緊張材であらかじめ圧縮力をコンクリートに与える事で、強靭な構造体が実現されています。

下山所長:
初めての施工だったこともあり、工事は苦労しました。打ちっ放しの壁も多く、型枠に流し込んだコンクリートがそのまま外部に現れるのでやり直しがききません。高い技術が求められ、足場の設置や工程管理など緻密な計画性が必要でした。細かい図面を描き、工事するタイミングを検討しながら最適解を探っていきました。2階の天井のワッフルスラブも一つ一つ型枠を作り、コンクリートを流し込みます。これも型を抜くまでどうなるかわからず、一発勝負なので慎重に行いました。

1階は正面とサイドがガラス張りになります。7mと4.5mの大判サイズのガラスをどうやって入れるかは悩みました。道路側は電線もあるので横からは入れられず、建物の中にクレーンを入れて、ガラスを吊りながら正面から奥に入れ込みました。

松山代表:
建築の専門家からは、どうやってガラスを入れたのかと必ず聞かれます。大きなガラスを枠なしで施工するのは難易度が非常に高まりますし、建築は人間がつくるものですから仕上げで“逃げ”をつくらないとできません。この建築は現場で打設したコンクリートがそのまま仕上げになっているため、躯体自体にも高い精度を求められますし、大型のガラスもコンクリートの溝にそのまま差し込まれているので高度な技術が必要となります。
建築はこうした究極の世界を追い求めていく事で、人々を感動させる姿として建ち現れます。それを見事にやり遂げていただいた職人さんたちにも敬意を表したいと思います。

下山所長:
床、壁、階段が全てコンクリートの仕上げなのも特徴的だと思います。タイルや石を貼るなどの仕上げの方が簡単ですし、歪みを調整できます。コンクリートを生かすことは建物の風合いとして美しいですが、平坦にしたり、角を出したりなどの施工の正確さが求められ、難しい部分ではあります。

松山代表:
設計者がどんなに良い設計をしても、施工者の姿勢と意気込みによって完成度は変わります。何よりも驚いたのは下山所長が自ら施工図を描かれていた事です。近年は業務の効率化や分担制が進み外部に委託することが多いですが、現場のトップが自ら施工図を描き、建築の隅々まで全て熟知した上で、現場の末端まで落とし込んでいくという仕事の進め方に深く感動しました。

下山所長:
この建物に対しては「どうなっているのか知りたい」という気持ちの方が大きかったです。
自分で描くと気付きがあり、工程のやりやすさも見えてくるという利点もあります。

松山代表:
建築は現場監督が指標を示し、何百人という職人たちをまとめて作る「技術の結晶」です。
設計図を読み解き、どう最適化するかを考えながら進めていく下山所長のものづくりに対する姿勢や、現場への熱い思いには感銘を受けました。

EPISODE 3. 完成後、それぞれの思い

EPISODE 3. 完成後、それぞれの思い

設計から施工、そしてバトンは施主側へと渡る

原田課長代理:
建築の過程を見ていましたが、足場が外れて姿が見えた時は圧巻でした。図面で理解していたつもりが、実際は思っていたより大きくてボリューム感がありましたね。建築中も注目を浴び、通りがかりの方から何ができるのかとよく聞かれましたし、開業後は競合他社や建設業者の方も視察に来られています。「この施工はすごい」と言われることが多く、サワライズとしても自慢の建物になりました。

野口部長:
周囲にとても馴染んでいるなと感じます。建築も店舗も期待通りのものができあがりました。

下山所長:
突飛感がないのは、やはりデザイン力の高さですね。内部はテナントさんの意向がありますが、外部は松山代表の意向が反映された自由度の高い建物になったと思います。

松山代表:
型破りな提案だったと思いますが、自由な発想で設計ができて楽しかったですし、イメージ通りの建物が完成しました。内藤工務店さんとは初めてのお付き合いだったこともあり、最初は私たちが求める技術と精度が実現できるか正直なところ不安はありましたが、「建築は嘘をつかない」ので、施工者がいかに情熱を注ぎ込み、魂を入れて創り上げたかは完成したその建築を見ればわかります。下山所長のような現場監督と技術がある限り、建築の社会的な価値を高める事ができると改めて実感したプロジェクトでした。

下山所長:
私としても技術力を上げさせてもらった現場なので携われただけでも幸せでした。この業界に入って30年になりますが、誇れる現場の一つになりました。関わった職人の皆さんもきっと同じ想いのはずです。多くのお客様に来ていただきたいですし、サワライズさんがこの建物をどう運営していくか楽しみにしています。

野口部長:
2年半程かけたプロジェクトで紆余曲折ありましたが、おかげさまで4月に開業し、地域の方だけでなく、県内外の広範囲から途切れなくお客様に来ていただいています。
設計と施工に携わっていただいた皆さんに、次は私たちが応えていく番です。『MEINOHAMA STEPS』が持つ可能性を引き出すことが私たちの役目だと考えています。「街と人のつながりのランドマーク」として地域の方から愛される建物を目指し、これからもチャレンジを続けていきたいです。

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