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プロジェクトストーリー 簀子小学校
地域に根差してきた内藤工務店。
地域への思いと、地元の声の後押しで事業参加へ
弊社は、1959(昭和34)年の創業以来、地域に根差し事業を展開してきたこともあり、簀子自治連合会の方々ともかねてより親交がありました。何より会社として地域に貢献したいという思いも強く、簀子小学校が統廃合された当時から再開発の情報にはアンテナを張り、参加できる方法を模索していました。最終的には、入札で工事を受注しましたが、再開発を進めていくにあたり「ぜひ地場の業者も使ってほしい」という地元の方々の声も大きな後押しになったと思います。
青池社長:
建物を通して、この地域に貢献したいという気持ちが一番です。それと同時に、この地で創業した弊社が、簀子地区のシンボルともなる施設に、施工会社として名を連ねることができることをたいへん光栄に思います。これまで培った施工技術を存分に生かして、地元の方々に愛される憩いの施設をつくりたいという思いで進めました。
内藤工務店の施工担当範囲
すのこ体育館、すのこ芝生広場、また複数企業からなるJV(ジョイントベンチャー)の一員として、JR九州グループの住宅型有料老人ホーム『SJR大手門』の建設にも携わっています。
この地区では昔から地域住民の交流が盛んで、簀子小学校の体育館や運動場は、地域の運動会や夏祭りにも利用されるとともに、災害時の避難場所、選挙の投票所などの役割も担っていました。そのため、すのこ体育館とすのこ芝生広場は、住民の方々にとって最も期待が高い施設です。
その他、施設とエリアをつなぐ「すのこロード」の整備など、敷地内の建物同士を融和させ、市民の憩いの場にするための外構工事も弊社が担当します。
建物の大きさはメートル単位、施工にはミリ単位の緻密さ
森塚次長:
地域の方に期待される施設ということで、プレッシャーは大きかったですね。まず、3冊にもわたる設計事務所の設計図を読み取り、細部の情報を調整・補完した施工図をつくりあげるまでに3~4カ月かかりました。
建物の大きさはメートル単位ですが、施工にはミリ単位の緻密さが必要です。そうした細かな作業を図面に起こしていくことが、私たちの仕事であり、その正確さが弊社の技術力です。
決められた予算と工期のなかで、指定の工法に従い、設計図に忠実な施工をするため、緻密な確認を行うとともに、よりよい資材の代替案なども提案しました。
設計図は建物の仕上がりや広さなどを記載している図面であるのに対し、施工図は、工事現場で施工作業を行うための詳細な情報が記載されている図面を指す。
すのこ体育館の施工
すのこ体育館に関しては、施工スペースが非常に広いだけでなく、災害時の避難所や集会所としての機能を備えていることです。そのため浸水の可能性が低い2階に体育館、1階に駐車場があり、エレベーターや大型空調設備も備えています。現場全体としては、同じ区画で3つの工事を並行して行っていることから、工事用大型車両の進入路やスケジュールなど、建設会社間でこまめな調整が必要になります。また外構については、建物ごとに建設会社、工事スケジュール、さらに各エリアの地面の高さなども異なります。
森塚次長:
そうした状況のなか、敷地全体を最終的に統一感ある空間に仕上げていくという役割には、大きな責任とやりがいを感じました。
青池社長:
『桜十字大手門病院』『SJR大手門』は共に40億円規模の工事です。弊社の若手社員にとっては、大きな現場を間近で学べる貴重な機会でもあるため、この現場を通してひとつでも多くのことを学んでくれることを期待していました。
外構工事の施工
体育館以外にも中庭やグラウンド周辺の外構工事も弊社にて行いました。中庭では曲線が多く使われたデザインとなっていて、さらに平らな地面だった箇所を設計通りに土を盛り、勾配のついたデザインを実現させる必要がありました。設計図面から施工図面を書き起こす際、3次元のCADでないと対応できないため施工図の作成には苦労しました。また、植栽を多く使っているのですが、植物は生き物なんですよね。将来木の根が成長した時に、せっかく作った勾配の形が崩れてはいけないので、植える深さや根の周囲にガードを設けるなど、見えないところでちょっとした工夫もしています。
森塚次長:
この施設と公園が接する箇所に、福岡空襲の時から崩れずに残っているレンガの壁があります。その歴史を継承することと、全体のデザインに親和性を持たせることから、床にもレンガタイルを使っていますが、その中にリスの足跡を付けた箇所があります。りすのこスクエアのモチーフでもあるリスが遊びに来た想定です。来ていただいた方にちょっとでも楽しんでもらいたいという思いで施しました。
ジョイントベンチャーのスケジュール管理
青池社長:
すのこ体育館の工期は2021年11月~2022年11月、すのこ広場を含む外構は、2023年夏~11月ごろまでと、トータル約3年にわたる工事です。その間、他の建設会社との連携を図りながら工程管理が必要になり、気のゆるみが許されない状況でした。
森塚次長:
建設現場では、関連する工事が複雑に絡み合い進行するため、1つの工事が遅れると、連動してその後の工事に影響が出てしまいます。数日のロスも積み重なると取り返すのが難しくなるため、着工するまでに、工事にかかる全作業を割り出し、月間、週間、そして1日単位に割り当てた工程表を作成します。それをもとに日々の進捗をみながら、どんな状況でも期間内に工事を完遂できるように、現場の人員やそれに伴う予算の管理を細かく行います。
地域を守る存在に
森塚次長:
工事が終わり、完成した体育館や広場は地域の交流イベントやお祭りとして既に使っていただいています。また、災害時には避難場所としても活用できる設計にしています。グラウンド周辺にはマンホールを開けて仮設トイレを設置できたり、周囲のベンチが炊き出しのカマドに変身したり、様々な機能を備えています。弊社の位置するこの地域の方々を今後何十年と守れる施設の工事を担当できたことを誇りに思います。
青池社長:
簀子小学校跡地活用事業は、弊社にとって足掛け10年にもおよぶ念願のプロジェクトです。地元の方々もオープンを心待ちにしていました。すのこ体育館・芝生広場が、地元の方々の集う憩いの場となり、簀子地区の商店や飲食店が今後ますます活気づいていくことを願っています。